政府は「逃亡犯条例」改正案を発端に混乱が続く香港情勢をめぐり、機会を捉えては日本の立場を表明してきた。ただ、日中関係の改善基調を背景に控えめな動きに終始している。
「デモ隊と警察などの衝突が激化し、多数の負傷者が出ていることを大変憂慮している」。茂木敏充外相は就任直後の今月11日の記者会見で、こう述べた。ただ、茂木氏が米ニューヨークで26日に中国の王毅外相と会談した際には、「会談時間が短かった」(外務省)として香港問題を取り上げなかったという。
安倍晋三首相も6月27日、20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)出席のため中国国家主席として初来日した習近平氏と大阪市で会談した際、香港の状況を念頭に「引き続き『一国二制度』の下、自由で開かれた香港が繁栄していくことの重要性」を指摘。「自由」「開かれた」との言葉には中国への否定的な考えもにじむが、人権問題として直接は批判しなかった。この会談では習氏が国賓として来春来日することが固まり、刺激的な表現を避けた可能性がある。
一方、8月20日に当時の河野太郎外相が北京で王氏と会談した際には「対話を通じて平和的に事態が早期に沈静化することを強く期待する」と強調。翌21日の日中韓外相会談でも香港問題を取り上げた。
香港情勢をめぐっては米上下両院の外交委員会が、民主化勢力の支援に向け「香港人権民主法案」を全会一致で可決したが、今のところ日本の衆参両院に同様の動きは見られない。(原川貴郎)
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